この地球上に住む生物は、全て太陽のエネルギーに拠って、無機物から有機物に変化します。現在、その名が知られてきた海の深層水は、陸から運ばれたミネラル等が、

比重が重いために海の底の方へ流れ込み、深海流に混じり込んだ物を汲み上げています。

深海流が、海底の大陸棚などにぶつかると、その流れを変え上昇して来ます。

そして、海面下20メートルくらいに達すると、太陽光線が届くので、海水に含まれた栄養分(ミネラル)は、植物性プランクトンを大量に発生させます。

植物性プランクトンは、動物性プランクトンの餌になり、さらに動物性プランクトンは小魚の餌となり、小魚は大きな魚の餌となるのです。

大きな魚は、死んで、海の栄養分として、再びこの循環の中に取り込まれて行きます。


其の、自然の循環の頂点に立つのが人間です。これは、海の中の食物連鎖ですが、陸上でも同じ様な食物連鎖が有ります。

陸では、植物が根から栄養を吸い上げ葉に送ります。葉は、太陽光線のエネルギーで光合成を行い、澱粉を合成します。

それが、人間や、草食動物や、小鳥などが食物とする、実や芋などの栄養素になります。

葉の「葉緑素(クロロフィル)」は、緑色に見える色素で、葉緑体に含まれています。葉緑体は、光合成を営む細胞質顆粒で、植物細胞の一部分を占めています。

植物細胞は、葉緑体の他に、最も重要な核や情報を伝えるミトコンドリアなど十数個の部分で成り立っています。

植物細胞と、動物細胞の違いは、細胞の最も外側に位置するのが、植物細胞では壁でできているのに対して、動物細胞では膜で出来ていると言う事であるそうです。

進化のどこかで、植物と動物に分かれたのでしょう。


元々、植物も動物も同じ源から出発している理・ことは、現在では常識となってきました。その証拠に、人間も空気を多く摂取し、水を飲みます。

違うのは、植物はミネラルを水に溶けた状態で、根から吸収しますが、人間は一度お腹に入れて、腸内でバクテリアに分解してもらってから、小腸の毛細胞(根)で吸収する事です。

そして、人間が摂取したミネラルは、血液という流れに乗って全身に送られます。

もう1つ違うのは、植物は二酸化炭素を取り込み、酸素を放出しますが、動物は植物の放出する酸素に頼っていると言う事です。

更に、もう1つの違いは、植物は一箇所から動かないで、根を下ろしていますが、動物はその名の通り、動き回って餌を探さなければならないと言う事です。


人間は、動き回る動物の方に気を向けがちですが、動物と植物は、殆ど同じ仕組みで出来ており、どちらかと言うと、植物の方が優性なのです。

動物が居なくても、植物は生きて行けますが、植物がなければ動物は生きて行けません。植物が存在した上での、動物の存在なのです。


動物の生活は、植物を保存する事で成り立っていますが、人間だけが必要以上に自然破壊をしています。其れは自殺行為と言えます。

人間の肉体は、60兆個の細胞で出来ていると云われますが、基本的な仕組みは、植物に依存する形で出来上がっています。

それは、植物が生命の源に在るからです。ですから、人間はその理に気づいて、食の大切さを考え、自分のお腹に入れる物の、良し悪しを見極めねばなりません。

体が喜ぶものを食べてこそ、60兆個の細胞は本来の働きを取り戻す事が出来るのです。人間の食生活の基本は、植物を食べる事にあります。

ですから、動物の肉を食べるのは、補助的に月に数回という程度にしなければなりません。


人間は、五感が発達した為に、細胞レベルの営みを狂わせて来ました。

今一度、植物細胞を取り入れる事が、人間の食の基本である理・ことを思い出し、太陽の恵みのありがたさや、空気や水の大切さに、思いを向けるべきなのです。

そうしなければ、人間の未来は有りません。この理に気付く事が、21世紀の文化・文明の基礎となるでしょう。


-2000年3月-




植物細胞が形を変えて生物を創る