人間の働きに、「知恵を出すか 汗を出すか」との言い方が有る。

労働者は、汗を多く出すので、塩分を補給しなければならない。

其れが、塩気が無いと、仕事が出来ないと言われる由縁である。

だから昔の労働者は、10時と3時の休憩時間に、漬物をよく食べていた。

現在は、機械が発達したので、力仕事が少なく成り、あまり汗をかかないので、砂糖入りのジュースや、甘いお菓子類がお八つとして増えている。


一方「知恵を出す」の方は、脳を使うので甘いものが欲しくなる。

其れは、脳のエネルギーには糖質が必要とされるからと言われている。特に、コンピューターに1日中しがみ付いている人達はその様である。

夜遅くまで、受験勉強をしている子供達が、夜ケーキを食べるのも、このような理由が有るのかも知れない。


「禅」の世界から始まった茶道でも、お菓子が付き物で、沢庵が出るとは聞いた事がない。

沢庵とは、「沢庵禅師」が考えたものだと伝えられているから、沢庵和尚は自分で作務をしていたのだろう。

茶道の、祖師と云われる千利休は、商売人で労働者ではない。

信長や、秀吉に仕えて気苦労が多かったのだろうか。

それとも、後の人々のストレスが増し、甘いものを取り入れたのだろうか。


現代は、砂糖の取り過ぎが問題に成っている。

普通のジュース1本だけで、1日分の糖分は足りるそうだ。

是だけ、子供達がジュースを欲しがるのは、子供達がストレスを受け過ぎている事の証しなのだろうか。


塩分も、汗をかくほどの労働をしない人が、酒を飲みながら摂るので、これも問題と成っている。

-2000年6月-





塩と砂糖