私達、地球の生物には、生きる為に空気と水の他に、太陽エネルギーにより生産された食物が必要です。

空気は澄んで酸素が有り不純物が少ない方が良いですし、水は生物に必要なミネラルが含まれている方が良く、化学物質が含まれている物は良くありません。

食生活には、「身土不土」「一物全体」と言う言葉が有る様に、生活する其処の場所の季候と、季節に合った食生活が一番適しているのです。


極寒の地に暮らすエスキモーの人達は、肉食しか出来ません。野菜などは育ちませんので、肉食に適した身体となっています。

平均寿命は50歳代だそうですが、彼等にとってはそれが自然です。インドの人達は、果物とカレーを多く食べます。肉食はしない方が良いという考えです。

暑い気温の国ですので、体を冷やす陰性の食事です。熱い気候なので、果物が澤山実りますから、其れ等を食べて休温を下げ、生命を養っているのです。


私達の住んで居る日本は、丁度その中間に位置しています。

ですから、夏はスイカ・キュウリなどの野菜と、冷しソーメンやトコロテン、それにビールなど、体温を下げる飲食物ですので、インドに近い食物です。

冬に成ると、スキヤキや鍋物など、肉や魚を使用した料理で、日本酒が多くなり体を温めます。


処が現在では、冷房や暖房が普及し、冬間にアイスクリームを食べ、夏に焼肉を食べたりするので、体のバランスを失い、病気の元を造っています。

現在の、スーパーなどの店頭に並んでいる食品を見ますと、色や形など、昔と異なって美しく見えますが、中味は段々と悪くなり、食べるより、食べない方が良い物が澤山有ります。

残念な事に、日本の子供のアトピー等の異常が、世界一に成ったそうです。

所得倍増を目的とした高度成長政策に因って、人間の身体と心が置きざりにされ、日本の良い伝統が失われて来ています。


本当に住み良い社会とは、医者と弁護士が居なくても良い社会ですが、実際は医者と弁護士が増加しています。

逆に、食物を生産する農家の新後継者は、年間2000人を割ってしまい、今後増々減る傾向にあります。農家の人手が減ると、機械を使い、化学肥料と農薬に頼った手抜き栽培となります。

使用される肥料と農薬は、そのまま人体を汚染し、河川や海の環境を悪化させ、魚や海草も汚染されて、其れ等も何れ人体へ返って来ます。

人間の、手に因って変られた環境は、総て人間の業として返って来るのです。多くの人が、身内に何等かの病気の人を抱え込む事になって来ています。

私達の幸福とは、家族や友人が、皆健康で、笑顔の絶えない毎日を送る事ですが、それが出来なく成りつつあるのです。


日本の国民全体の医療費が、23兆円を超えたそうですが、このまま進めば、国民健康保険も国民年金もパンクする事は明らかでしょう。

私達は、自分の生きて行く道を、自分達で確保しなければなりません。其れには、あらゆる部所の役目の人達が、元気で活躍して下さる事です。

「元気」と言う事は、人間の肉体と、精神の調和の良い状態を表わす言葉です。


肉体を表わすもう1つの言葉に「からだ」が有ります。今は「体」と書きますが、以前は「體」と書きました。

漢字の「體」の組み合わせは「骨+豊」で、骨が豊かと言うことは、体が丈夫で立派だという事です。丈夫で立派な体の持ち主こそが、健康な精神状態を保つ事が出来て元気だという事です。

骨は、カルシウムを元としています。カルシウムは、細胞の中に1とすれば、血液の中にはその一万倍、更に骨の中にはその一万倍の割合で、含まれているそうですが、

其のバランスが崩れると、あらゆる病気に成るそうです。

カルシウムが、体にバランス良く有る為の生活とは、カルシウムが含まれている食物を摂る事と、太陽に良く当る事、それに適度の運動をする事、此の三つの要素が大事です。

其の、どれか一つが欠けても良く有りません。

現代人は、太陽に当る事も少なくなり、小学校入学前から机に向って勉強をして居ます。

だから、青年になる迄の成長期間の運動が足りません。食物のカルシウムも、少なくなっています。骨が豊かな人達が、少なく成りつつあるのです。

背が高くても、ヒョロヒョロしているのは、陰性の食生活で、骨がスカスカになって居ることでもあります。

上記の三つの条件を、増々悪くしているのが、白砂糖の取り過ぎです。

白砂糖の摂り過ぎは、歯を悪くして、穀物や繊維の有る食物を食べ難くするので、悪循環と成ります。1日に、缶ジュース1本分でも、砂糖の摂り過ぎになるのです。

骨が丈夫でないと、背筋も曲ってきます。

背骨が曲ると、神経に異常が表れ、内臓器官の活動に影響を与える事になり、其れも又病気の原因になります。

カルシウムが、腸より吸収されるには、ビタミンDの働きが大事であり、ビタミンDは太陽に当る事で生産されるそうです。

現在の野菜は、ハウス栽培の物が多く、太陽光線を充分に取り込んではいません。

私達は幾重にも、生活環境から太陽エネルギーを遠ざけているのです。私達が生活する為のエネルギーは、皆太陽エネルギーに依存しています。

人間は、石油や石炭から生産出来る物質を含め、太陽エネルギーに拠って生産された草木、動物、魚、海草などを利用する事で生活しています。


太陽こそ、私達の命の糧であります。其の、太陽の光によって生れた食物こそ、私達にとって神そのものではないでしょうか。

私達が、食物を守る事こそ神を守る事であり、其れが其のまま神の働きを助ける事に成るのです。

私達は、太陽エネルギーが、この地球で何らの無駄なく物質化され、環境の復活となる様に努力をしなければ成りません。

其の為に、具体的な活動を始める時ではないでしょうか。

其の為にも、三つの条件「良き食べ物を食べ・太陽に当たり・適度な運動をする」と言う、原則に適った生活習慣を、整えるべきだと考えます。

この事が、生物の原初に帰ることであり、神のの働きを助ける事でもあると想います

-1993年9月-





食物と人